一分象嵌の制作

一分象嵌は、糸鋸機での象嵌が始まった明治の中頃から、ほとんど形を変えることなく今に引き継がれてきました。異なった2枚の薄板を仮止めし、糸鋸機の作業盤を傾斜させて板を挽くことにより、上の板を下に落とすことができ、隙間のない象嵌が出来上がります。象嵌する板の厚みが一分(3.3mm)なので、「一分象嵌」と呼ばれています.。 象嵌されたものを台木に圧着し、鉋で表面を仕上げます。鉋がかけられる木であれば、すべての木が象嵌に用いることができるので、最も木肌の美しさを引き出すことができる技法です。主に欄間、衝立、屏風など一品ものの美術品に用いられる木象嵌です。

一分象嵌の製作工程

①鳳凰の尾羽(カキの縮み杢)を重ね挽きする。糸鋸のテーブルが傾斜している。

②重ね挽きされた尾羽
②重ね挽きされた尾羽

③地板のキリの木とカキの縮み杢をはがす。
③地板のキリの木とカキの縮み杢をはがす。
④尾羽に接着剤を塗り、キリの地板にうめる。余分な接着剤をふき取る。
④尾羽に接着剤を塗り、キリの地板にうめる。余分な接着剤をふき取る。

⑤左の翼をを重ね挽きしたところ。
⑤左の翼をを重ね挽きしたところ。
⑥翼に接着剤を塗り、埋め込んでいる。
⑥翼に接着剤を塗り、埋め込んでいる。

⑦象嵌が終了したら鉋がけをする。
⑦象嵌が終了したら鉋がけをする。
⑧ワックスを塗って仕上げる。
⑧ワックスを塗って仕上げる。